今月の優秀従業員

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バンフスプリングスホテル
海外のある有名ホテルの廊下に従業員の写真が5~6枚並んでいました。そこには「Employee of the month」とタイトルがつけられていました。「今月の優秀従業員」といったところです。

フロントの制服の人、レストラン関係の人、部屋の掃除係などの写真の中に、アジア系の人の写真もありました。確認してみると日本人の名前でした。部屋の掃除をする係のようで、エプロンをした姿の写真が飾られていました。

ツアーのお客様は感心して「海外で頑張って活躍して素晴らしいですね」と言っていました。でも、私の感想は違います。「素晴らしいけど、当然ですよ」です。

イヤでもきちんと

野球のWBCが大変盛り上がりましたね。今どきは選手の皆さんもSNSで発信する時代です。ある選手の投稿で、背景にわずかに映り込んだ靴がきちんと揃えられていた、と反応したのは海外の人たちでした。ベンチやロッカールームにもゴミは落ちていない、と称賛されています。

日本家屋の座敷
海外の野球選手がベンチにいる映像が映ると、ガムを噛んでいる様子の他に、何かを食べているのがわかります。一般的にはスナック菓子感覚でひまわりの種を食べていることが多いようです。種を覆っている殻はそのまま下に「ペッ」します。だから、ベンチの足元は試合後はゴミが散らばっているのが当たり前という感覚なのでしょう。

日本の野球選手は、球場自体に礼を尽くしますよね。グランドを出る時に一礼するの様子は珍しいものではありません。日本人の選手も最近はガムを噛んでいますが、下に「ペッ」する人はいないことでしょう。サッカーの試合後のスタジアムのゴミ拾いは、今やサッカー試合の一部になったようにも感じます。

日本では当たり前に学校で昼休みや放課後に生徒が掃除をしますが、世界的には大変珍しいことだと聞きました。自分が使う場所は自分できれいにするという感覚が当たり前ですね。

伝統的な日本家屋では、1つの部屋が、リビングであり、ダイニングであり、「ちゃぶ台」を片付けた後は布団を敷いて寝室になります。大きくない家を快適に過ごすための知恵ということもできるでしょうか?場合によっては襖をはずして大きな部屋にし、結婚式や葬式もしていました。何でもできるけれど、片付けないと他のことができないという感覚がいまだに染みついているのかもしれません。

海外で自分の意外な一面を見ました

シェアハウスのイメージ
カナダに住み始めて、部屋を探している時に感じたのは、自分がきれい好きかも、ということでした。私は汚いのは嫌だけれど、掃除が面倒な時や疲れている時は見なかったことにできますし、自分が特にきれい好きと思ったことはそれまで1度もありませんでした。

カナダでルームシェアの下見に何軒もの家を回りました。そのうちのいくつかの家は気持ち悪くて5分もいられないと感じました。そういった家に限って、「very clean」と紹介文に書いてあるのです。 

部屋は自分ひとりのものですが、キッチンやシャワーは共同になります。その都度、気分の悪い思いはしたくありませんよね。「私はきれい好き」とは今でもあまり思いませんが、「私は日本人」と改めて自覚したきっかけでした。

ホテルのルームメイドのイラスト
だから当然ですよね

ホテルの掃除をしている日本人の従業員さんが「優秀」なのは嬉しいことです。でも、たぶん、フツーの日本人がフツーにやれば、優秀従業員になるのではないでしょうか?

以前の投稿、ステキなお客様⑦折り紙先生で紹介したように、日本人は細かい作業を小さい時から遊びの中でも馴染んでいます。

外国人の折り紙を見ていると、角と角を合わせるだけで大騒ぎをしている人も大勢います。慣れていないと言えばそれまでですが、きっと、ベッドにシーツをかけるという作業も、日本人の方がすぐにコツを掴んで上手になるのが早いのではないかと思います。

また、「きちんとする」ことが当然なので、自分ではフツーにしていることが、周りの外国人従業員からみたら、優秀な人材になるのではないでしょうか?

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